スチールキャビネットが開かなくなる主な原因
頑丈で耐久性が高いスチールキャビネットですが、長年の使用や設置環境によって開かなくなるトラブルが発生することがあります。その原因は多岐にわたりますが、主に物理的な変形や内部機構の不具合に集約されます。最も多い原因の一つが、キャビネット本体の歪みです。地震による揺れや、床の凹凸、重いものを長期間収納することによる荷重などが原因で、筐体全体がわずかにねじれてしまうのです。この歪みによって引き出しのレールが正常に機能しなくなったり、扉と本体の間に過度な摩擦が生じたりして、開閉が困難になります。この場合、設置場所を見直して水平になるように調整したり、一度中身を全て取り出して筐体の負担を減らしたりすることで改善することがあります。次に考えられるのが、ロック機構であるラッチやカンヌキの不具合です。内部の部品が錆びついたり、破損したりすることで、鍵を回してもロックが正常に解除されなくなります。特に、書類や備品を詰め込みすぎると、その圧力がラッチにかかり続け、動きを妨げる直接的な原因となります。鍵が回るのに開かないという場合は、このケースを疑うべきでしょう。引き出しを少し揺すったり、扉を本体に押し付けながら鍵を操作したりすると、引っかかりが外れて開くことがあります。また、引き出しタイプのキャビネットでは、スライドレールの故障も無視できません。レール内部のベアリングが破損したり、レール自体が変形したりすると、引き出しが途中で引っかかり、完全に開けることも閉めることもできなくなります。この状態になると、自力での修理は困難な場合が多く、専門家による部品交換が必要となることもあります。日頃から丁寧な開閉を心掛け、物を詰め込みすぎないことが、こうしたトラブルを防ぐ最も効果的な予防策と言えるでしょう。