大切なロードバイクやクロスバイクを購入し、盗難対策として頑丈そうなU字ロックを購入したにもかかわらず、ある日突然駐輪場から愛車が消えてしまっているという悲劇は後を絶たず、被害に遭った人の多くは「あんなに重くて硬い鍵をかけたのに、なぜU字ロックは役に立たなかったのか」と嘆き悲しむことになりますが、実はU字ロックがその防犯性能を発揮できずに無力化されてしまう特定のシチュエーションや使い方が存在することを知っておかなければなりません。U字ロックが最も役に立たない典型的なケースは、フレームとホイールだけをロックして、地面に固定された構造物と一緒にロックしていない、いわゆる「地球ロック」をしていない状態であり、この場合、犯人は鍵を壊す手間をかける必要すらなく、ロックがかかったままの状態で自転車を担ぎ上げ、用意していた車に積み込んで持ち去り、アジトなどの人目のない場所で時間をかけてゆっくりと鍵を破壊するという手口を使うため、どれだけ高価で切断不可能なU字ロックを使っていたとしても全く意味を成さないのです。また、U字ロックのサイズ選びを間違えて、フレームとロックの間に大きな隙間が空いている場合も非常に危険であり、犯人はその隙間に車のタイヤ交換などで使うジャッキを差し込み、油圧の力で内側から押し広げることで、金属疲労を起こさせてロックを破断させるという「ジャッキアップ」と呼ばれる破壊工作を行うことがあり、これに対しては隙間を作らないような小さなサイズのU字ロックを選ぶか、隙間を埋めるように取り付ける工夫が必要不可欠となります。さらに、地面に近い位置でロックをしてしまうと、犯人がボルトクリッパーなどの工具を地面に押し付けて体重を乗せることができてしまうため、本来なら切断できないはずの硬度の鍵でも切断されるリスクが高まりますので、できるだけ高い位置で、かつ工具を差し込みにくい複雑な形状でロックすることが求められます。このように、U字ロックは単体で万能な魔法の道具ではなく、犯人の手口を逆算して弱点を消すような使い方をして初めてその真価を発揮するものであり、ただ漫然とタイヤにかけておくだけでは、プロの窃盗団の前では無防備であるのと同義であることを肝に銘じておくべきでしょう。